定義と実施しなければならない理由
企業が業務ではかりを使用する場合、計量法によって2年に1度の定期検査が義務づけられています。ただこれとは別に定期的な校正が必要であり、企業が社会的信用を得るための必須作業となっています。はかりの校正は、その計量器がどれくらい正確なのかを確かめるというより、どれくらい不確かなのかを確認する行為と言えるでしょう。精確な計量結果を得るためには必須の作業であり、これを怠ると業務に重大な過失の起こるリスクが生じます。はかりなどの計量器は、出荷時(新品導入時)がもっとも精密で正確な状態です。日々使用することで時間とともに正確性は低下し、自然な経年変化でも狂いが生じてくるのが普通です。その誤差がどれくらいかを適正な頻度で確認し、定量比較をした結果を第三者機関が認める形で証明することが重要になってきます。検査は国家認証機関により認証された供給者が実施し、文書化されます。
どれくらいの周期で実施すべきか|おすすめの頻度
多くの企業が悩むのが、検査を実施する頻度です。2年に1度の定期検査とは異なり、特に法律で義務化されているものではないため、かえってどれくらいの周期で実施すればよいかが悩ましくなっているとも言えるでしょう。ISOでも期間や有効期限が決められているわけではなく、結論から言えば使用者側自身が決めることになります。実施すればコストがかかるためなるべく長くスパンを取りたいのが本音ですが、だからといって測定値の信頼性を損なうようでは本末転倒です。どれくらい長く使用しているか、どのような環境下で使用しているかなど、条件が異なるため一概に言えませんが、一般的には1年に1回がおすすめの頻度です。もちろん日常点検や定期点検とセットで考える必要がありますが、精緻かつ安全な周期を策定することが何より重要と言えるでしょう。
検査を実施しないことによるリスク
校正をしていない機器を使用するリスクは多分にあります。例えばメーカーが、許容できない範囲の誤差があるはかりを気づかずに使い続けた場合、製品の品質が劣化し社会的信用を損なう恐れがあります。プロダクションにおいて製造管理や品質管理は非常に重要ですが、想定外のトラブルによる製造停止などが起これば死活問題となるでしょう。製品不良が増えればリワークやリコール問題にも発展しかねません。定期的に第三者による点検が入ることで、質に関係するリスクを低減できることが大きなメリットと言えます。ちなみに調整とはまったく違う作業であり、調整のように特性を変える行為ではありません。品質保持のために日常点検は必須ですが、それとは別に第三者機関によるチェックを実施することをおすすめします。